グレートジャーニー開催にあたり

6万年前、人類最初の果てしない旅が始まった。

20万年前にアフリカに生まれた現生人類(ホモ・サピエンス)が6万年前から地球上に拡散した遥かなる旅路「グレートジャーニー」人類はどのように地球上に拡散し、過酷な環境の中、どうやって生きてきたのか。探検家・関野吉晴が体験した先住民の生活、その知恵や生き方には、私たちの未来へのヒントが隠されている。「熱帯雨林」「高地」「極北」「乾燥地帯」…もし、あなたがそこに暮らす事になったらはたして、あなたはこれらの環境の中で逞しく生き抜く事ができるのか。これからの人類と地球を考える究極の科学エンターテイメント国立科学博物館特別展!

“それでも、私たちはこの星で生きていく。”

監修

関野吉晴(探検家・医師・武蔵野美術大学教授)

関野吉晴(探検家・医師・武蔵野美術大学教授)

1949年1月20日東京都墨田区生まれ。
1975年一橋大学法学部卒業。
1982年横浜市立大学医学部卒業。

探検家・外科医のほかに武蔵野美術大学教授の肩書を持つ。1993年から南米大陸最南端のナバリーノ島をスタート地点に人類拡散ルートである「グレートジャーニー」を遡行する旅を開始。足かけ10年の歳月をかけ「グレートジャーニー」踏破後、2004年日本人のルーツをたどる「新グレートジャーニー」へと挑み2011年6月にゴールを迎える。現在、武蔵野美術大学教授(文化人類学)
写真:©グレートジャーニー

メッセージ
私は41年間に5000日以上かけて世界の厳しい環境を歩き、自然と一体となって生活する人々と暮らしを共にしてきました。この展覧会では、人類の大先輩たちが培ってきた知識、技術とともに、こうした伝統社会に今なお生き続けている知恵の数々をご紹介します。これから私たちがどのように生きていったらいいのかを、彼らの生き方をヒントにして、一緒に考えていきたいと思っています。

篠田謙一(国立科学博物館人類研究部人類史研究グループ長)

1955年生まれ。京都大学理学部卒業。博士(医学)。佐賀医科大学助教授を経て現職に就く。専門は分子人類学。日本や周辺の諸国の古人骨DNA解析を進めて、日本人の起源を追求しているほか、スペインによる征服以前のアンデス先住民のDNA研究から、彼らの系統と社会構造について研究している。

メッセージ
最新の人類学研究は、私たちホモ・サピエンスが20万年ほど前に誕生し、6万年前にアフリカから世界に広がった事を明らかにしました。この世界拡散を成し遂げた人類は、身体能力や知力が今の私たちと変わらない人々だったと考えられています。ですから世界各地の先住民や古代の人々が蓄積した知恵や知識は、私たちと同じレベルの人々が生み出した人類の英知とも言うべきものなのです。私たちは、3.11以降の社会のあり方を考えるときに、彼らのライフスタイルや自然観を顧みることには大きな意味があると考えてこの展覧会を企画しました。展覧会をご覧になった皆さんが、過去と現在から未来の社会を創造する試みに参加されることを願っています。

馬場悠男(国立科学博物館名誉研究員)

1945年生まれ。東京大学理学部生物学科卒業。獨協医科大学解剖学助教授を経て、88年国立科学博物館主任研究官、96年同研究部長および東京大学大学院生物科学専攻教授(兼任)。09年定年退職。専門は人類形態進化学で、インドネシアのジャワ原人の発掘調査を20年以上続けている。

メッセージ
人類の進化と日本人の形成に関する研究を行ってきましたが、私たちホモ・サピエンスの発達しすぎた知恵が資源枯渇や環境破壊を起こし、文明崩壊を招いてしまわないかと心配です。私たちの孫や曾孫が安心して暮らせる未来を築くためにはどうすればよいかを探るために、「グレートジャーニー 人類の旅」の企画に参加しました。この特別展で示されているように、自然の恵みを感謝して頂く人々の心と暮らしから得られる、ひとりひとりの「気づき」と「目覚め」が、みんなの「気づき」と「目覚め」になることを密かに期待しています。

フジテレビ ドキュメンタリー番組 グレートジャーニー

関野吉晴が南米最南端のナバリーノ島から人類が誕生したと言われるアフリカのタンザニアまで約53,000kmの旅に密着したフジテレビのドキュメンタリー番組。関野は近代的動力を使わないことを旅のルールとし、自らの腕力と脚力を頼りに、1993年から8年3ヵ月をかけて、人類拡散の大移動を逆ルートで進みました。徒歩・自転車・カヤック、そして動物たちの力を借りながら、人類誕生の地・東アフリカまで踏破するまでの約53,000kmキロに及ぶ旅の模様は人々に感動を与えました。2006年からは人類が日本列島に到着するまでの道のりを辿った「新グレートジャーニー」が放送され、こちらも大きな話題となりました。

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